2015/03/31

「中国茶と茶館の旅」平野久美子 布目潮渢

このまえ渋谷の駅で表参道方面からやってくる電車を待っていた。要は田園都市線に乗るためで、時刻はあと数十分で日付けが変わるという夜遅い時間。そんな時刻にも関わらずホームには行列。数分間隔で電車が乗客をチャッチャッ運ぶにも関わらずホームには人が次々押し寄せワンサカしている。渋谷で電車を待っていると渋谷ならでのは人がいるから面白い。レザーのミニスカートにナイキのくるぶし丈のソックスと下駄を合わせてきたガール。ヘッドフォンはビーツ。「私分かってますから」という無言の表情。その後ろに、足元はグレーのnew balanceでパンツはスエット、手元にはカモ柄のエルベシャプリエのカバン。黒ぶち眼鏡のシニア女性は齢50ぐらいだろうか、顔は堂々のスッピン。「私お洒落なんで化粧不要です」みたいなスタンス。ニット帽のバランス感が気になるのかずっといじっている。さすが渋谷。いろんな人種がいる。そんな中、電車待ちでイライラしてるサラリーマンが行列の先頭にいた。スマホ画面とにらめっこ。わずかな待ち時間をスマホをイジって潰している。そんな数分程度でキリキリする?と思っていたら、待望の電車が到着。我先に乗車しようと扉間近でピタっと待つ男。扉が開き、乗客が湧き出た水のように降りていく。ようやく皆、降りたかと思ったら扉の近くで女性グループがダベっていてこちらの侵入をブロック。女性グループの数名はそのまま電車に残り、一人が渋谷駅で降りるようで、バイバイする女性がなかなか電車を降りずにいた。「コチトラ好きでツムツムしてんじゃねーぞ、さっさと降りるかい!」と電車に乗りたくてしょうがない男はスマホと降りない女に目配せしながら心の中で言ってるんじゃないか。首都圏のストレスが生まれる現場に遭遇した気がした。でも時間にして3、4秒。

世知辛い世の中。どうにかならないのかなと思っていたら、渋谷でミランダ・カーが出ている烏龍茶の広告を見た。ついに健康を売りにするアジアンな烏龍茶に外タレをぶち込んできたかと思った。個人的には、ファッションじゃなくてコアなインパクトが欲しかった。例えばDr.Dreあたりがラーメンを勢い良くススり、シメに烏龍茶を飲むなんて映像はなかなかイケると思う。旨いもんがっつくけど、締めるときは締めまっせみたいな男気を伝える画はまだない気がする。欧米でお茶の需要が伸びる中、グローバル商品として世界にかませるコマーシャルも見てみたい。トンカツ屋でしれっとカバンからペットボトルを取り出し飲む感じは消化不良だった。仮にDr.Dreだったら堂々とペットボトルを表に出してカブ飲みしてたと思う。しかも無駄に両腕を前方に出して。どうせ飲むなら真っ向から飲んで欲しい。そして気持ちよくお茶を飲む事が出来る場所って大事だなと思った。ストレスを洗い流す場所。そんな最適な場所を知るのに便利な本が「中国茶と茶館の旅」だ。これはホント。情報がかなり古いので要再確認ではあるが。

中国には茶を飲む歴史があり、そして同時に庶民が茶を楽しむ場所も築いていたことがこの本で分かる。日本にはいまやコンビニ並みにコーヒーチェーン、カフェが街に溢れているが、学生、サラリーマン・OLの作業場と化していると感じている人も多いんじゃないだろうか。まるでオフィスか自習室か図書館みたいで、「ここカフェ?」みたいな場所も多いし、和みからは程遠い。一方「中国茶と茶館の旅」で紹介されている茶を飲む場所、いわゆる「茶館」はとことんリラックス出来る場所。茶館は人が集い語り合う場所で、お茶を介して人々は安らぐ。そして自然を上手く取り入れているのがよく分かる。本には台湾、中国、香港の茶館が紹介されていて、その他に中国茶の基本的な歴史や淹れ方なども載っているのでぜひ参考にしてみたい。油に効くお茶もいいが、ストレスをきれいさっぱり洗い流すお茶、そしてストレスを粉々に砕く自然美に包まれた茶を飲む場所を訪れるのもいいかもしれない。
平野久美子 布目潮渢「中国茶と茶館の旅」1996年 新潮社
中国のデザインでは好きなもの。茶や薬のデザインはいい。
ノスタルジック風情な写真
台湾、香港、中国の茶館を紹介。それぞれ雰囲気が違って面白い
コップのデザインがいい。
労働者が休憩。椅子とテーブルがあればお茶。
お茶の味も視覚で変わるに違いない
中庭の喜び。自然と共に時間を過ごす一時
内と外の絶妙なバランスの空間。居心地が良さそう

自然と一体。全身で自然を感知。
お茶のあては自然。ぐいぐいイケるし、ちびちびイケる

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