2012/08/02

クリエイティブなビジネス

イギリスの陶磁器メーカー、「ウェッジウッド」の創設者のジョサイア・ウェッジウッドは陶芸における卓越した技術で、彼の創造性を商品化することにつなげた。革新的な陶磁器の背景にエンジニア力があった。現代で言えばアップル製品は、「技術」と「デザイン」の二つの極みを目指し、世界中の人々を熱狂させている。クリエイティビティは、パワフルなターボエンジンのようで商品の魅力をグンと引き上げ、他から際立つことが出来る恐ろしく素晴らしいものだ。

 ロンドンで開催されたある会議で、元ソニーのボス、ストリンガーがクリエイティブな才能の活用が英国の将来の経済成長の鍵となると述べ、その中でジョサイア・ウェッジウッドを「創造性を商品化」した人物と評価し、彼が実践したビジネスモデルが今の時代に参考になると述べている。

ストリンガーが出席した会議とは政府が後押している「クリエイティブ産業」に関わるもので、オリンピック開催中にロンドンに来ている人々に英国クールを宣伝している。そこで元ジャーナリストのストリンガーはクリエイティブ産業で英国が優位に立つ3つの理由を紹介している。1つが、リスクを取る文化。2つめが、知的財産の法律。そして、最後に技術力。「技術者は現実の世界の詩人」だと技術者を描写し、世界を創造するのはエンジニアリングなんだと今はソニーのCEOから取締役に退いたストリンガーが言っている。

英国政府はクリエイティブ産業を支える為に国内映像産業振興策として税控除などの支援をしている。イギリスが持つクリエイティブな才能の流出を防ぎ、優秀な人材の誘致を目指している。例えば初期のハリー・ポッターシリーズの映画の視覚効果は3分の2がアメリカで作られていたが、最新のシリーズでは90%がイギリスで制作されている。クリエイティブな人材を最大限に生かすことで、クリエイティブ産業全体を盛り上げ、質の高い商品を世界に輸出することが出来る。

日本も、アニメや漫画が海外で人気ということで、クリエイティブ産業に勢いがあるように見えるけれど、まだまだ成長の余地はあるかもしれない。クリエイティブ産業と言っても、その領域は広く、例えば、プロダクトデザインや美術館のキュレーションなど新興国が豊かになるにつれて欲しがる「洗練さ」は無限にある気がする。

また今後、あらゆる業種でビジネスがクリエイティブ化していくと思う。電機業界では、ただ理由無く機能を追求した製品は、人々の心に響かなくなっている。ビジネスでも、「驚き」や「面白い」、「かっこいい」といったクリエイティブな価値が「便利」という価値と同等に扱われる時代が到来している。そんなことをこのBBCの記事を読んで思った。

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