美しい旋律と繊細さが特徴の欧州ジャズ。本場米国とは異なる響きに魅せられた日本人が増えている。そんな日本の制作者が地方を拠点に欧州の奏者と結びつき、作品を発信している。
湯の町、静岡県熱海市。海を一望する高台に、築40年を数えるログハウスが立つ。「こんなにスウェーデンのジャズを出しているレーベルは本国でも珍しいでしょうね」。そう語るのはレコード会社、スパイスオブライフを主催する佐々智樹氏(60)。ここが同社の本拠地だ。
2001年設立。北欧ジャズのCDを日本で制作してきた。これまでに約120作とジャズ専門ではなかりのハイペース。東京・吉祥寺に事務所を構えていたが、昨年5月、諸経費が抑えられる熱海に移転した。
大手レコード会社が採算性の良くないジャズの制作を手控える一方、独立系レーベルは積極的。大阪市の澤野工房など、国境を越え、ミュージシャンとのきずなを築くミニレーベルが人気だ。
「日本制作のジャズを世界に発信したい」。08年に発足したレーベル、アルボーレ・ジャズを主宰する豊田聡氏(36)は意気込む。イタリア人ミュージシャンの作品ばかり16作を制作。今年6月、事務所を横浜市から、故郷の三重県鈴鹿市に移した。
日本の楽器メーカーに勤めた後、イタリアに渡り、ミラノのレコード会社でジャズに携わった。培った人脈を生かし、年数回、イタリアに出向いてミュージシャンと企画を練り、録音や編集現場に立ち会う。「相手のいいなりにはならないが、彼らの持ち味、創造性をできるだけ生かしたい」と強調する。日経より。
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