2011/11/19

国内航空会社の格安航空線と成田空港の行方

航空料金の格安競争が始まる。航空会社は、スカイマーク、全日空がエアアジアと共同で設立したエアアジア・ジャパン、同じく全日空系のピーチ・アビエーション、日本航空とオーストラリアのカンタスグループ、三菱商事が設立したLCCジェットスター・ジャパン。各社の拠点は成田空港と関西国際空港になるもよう。
国内航空会社が運行するLCC(ロー・コスト・キャリア)の特徴は拠点を成田と関空に置いている点だ。LCCを活用して地方空港を活性化させようという国土交通省の空港政策によるもので、すでに関空が国内初となるLCC専用ターミナルの建設を始めるなど受け入れ体制の整備も始めた。日経より。

ただでさえ都心から遠い成田。格安競争の前に、成田への交通アクセスの利便性と交通費を見直すことが大事だと思う。いくら格安でも「成田に行くのはめんどう」と思われたら敬遠されるはず。「成田は遠い」という評判を覆す交通アクセスをつくる。あるいは、わざわざ成田空港に行きたいと思わせる場所にする。
例えば、ロンドンのヒースロー空港が行っている「ライター・イン・レジデンス」のような試みも空港という場所の魅力を高めると思う。イギリスの作家、トニーパーソンズがヒースロー空港に一週間滞在し、その宿泊中に遭遇した人々や経験をもとにヒースロー空港の短編を書く。そしてこの短編集の出版前に、5000千部が乗客に無料で配布された。このような活動は空港に対して、通常とは異なる印象を抱き、親密な気持ちになる。
この流れで村上龍の「空港にて」を思い出す。「空港にて」は村上龍にとって最高の短編小説らしい。最高の短編が生まれるには空港という場所が必要だったはず。

そして成田は、人から必要とされるオリジナルの空港を目指す。ショッピングや居心地という視点を超えて、文化度の高い空港へ。世界中から空港にまつわる小説を収集し「空港小説図書館」を設置する。さらに「ライター・イン・レジデンス」という文化活動を通してみんなが成田に対して抱いている「不便な成田」という印象を「独自の成田」へ変える。そしてゆくゆくは、「成田空港文学」コーナーというものが街の書店に登場する。そんな成田空港発の活動に期待。


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