答えは佐賀の伊万里牛ハンバーグ。「月イチ」の勉強会が去年の2位から今年のグランプリに導いたみたいで、どうやら佐賀には食文化に貪欲な人達がいる気がした。
そしてこのランキング10位の「ありたどり唐揚げ」という放し飼いの環境で育った鶏を使用した佐賀・有田のご当地料理も県外からも購入する人がいる品。伊万里にしても、有田にしても陶器で有名で、器に加えて食でも知られる場所になっている。
「ありたどり唐揚げ」の10位に続いて、11位は佐賀の呼子の「イカ活造り定食」。呼子は、イカで有名な場所。2010年4月「呼子台場みなとプラザ」という新鮮な魚介類、野菜、果物を販売する直売所がオープンした。
また佐賀のご当地グルメに「シシリアンライス」というものがあり、これを「はなまるマーケット」が紹介。このシシリアンライスは、長崎にあるトルコライスの影響を受けているらしい。
そして佐賀の人が食へ対してどれだけ貪欲なんだ!と感じさせるエピソードがある。それは江戸時代に外国から伝わった菓子を現代に復刻させた話。佐賀市の和菓子屋が江戸時代のポルトガル伝来の南蛮菓子を4年間費やして復刻し「肥前ケシアド」という名前で、去年の9月に販売を開始し、週に2千個焼き上げるほどの人気商品として現代に南蛮菓子を復活させた。
実はこの復刻へ向けて試作を繰り返す4年間は、全体のプロセスからすれば終盤だったのかもしれない。というのも製作するために、まず当時の作り方を理解する必要があった。佐賀市の和菓子屋「鶴屋」は、代々伝わる18世紀半ばからの南蛮菓子の製法書を解読するために10年間費やしている。製作に試行錯誤する4年間というスパンに驚いていたが、そもそも製法書を解読するのに、実は10年という歳月があった。
この鶴屋は1639年頃に創業した和菓子屋で丸ボーロが有名。ここの2代目が1680年頃に長崎の出島でオランダ人から学び、佐賀に持ち帰ったという歴史がある。ここにも「トルコライス」と「シシリアンライス」の関係のように、佐賀と長崎の密接な関係がある。
そして九州ご当地でナンバーワンを獲得した伊万里は、特産のブドウと梨を香港へ輸出して、「伊万里ブランド」を香港で広める考えで、伊万里を外へ強く発信し始めている。
佐賀の人たちは、昔から長崎経由で食に関する情報を得たり、南蛮菓子を解読して現代にアレンジを加えたお菓子を復刻したり、使える部分を見抜き、それを自己流で活用する。これはまさにDJ島の伝統だと感じた。ミックスすることは、特別なことじゃなく昔からやっていたことで、今でもその感性が九州に続いている。そして特に佐賀は食のサンプリング能力が高い気がした。
九州は昔から琉球や中国などの多数の経路を通して情報が流入し、それらを伝統的に上手くミックスしてきた島。中国、台湾、朝鮮に近く、また南蛮文化や出島を通じて欧州の「食文化」が入ってきた島だから、諸外国の食情報を蓄積し、アーカイブし、活用してきた。そしてそれらの文化を上手くミックスしてきた。だから南蛮菓子をサンプリングするような「DJ作業」は九州人は得意だと思う。
そしてこれらの佐賀の動向から佐賀は面白くなる気がした。佐賀は、地元を強く意識して、インパクトのあるものを生み出している。
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